妊娠中のインフルエンザの予防接種

国立感染症研究所感染症情報センター(平成15年11月1日)によると、

 

インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンであり、胎児に影響を与えるとは考えられていないため妊婦は接種不適当者には含まれていません。

 

しかし、妊婦又は妊娠している可能性の高い女性に対するインフルエンザワクチンの接種に関する、国内での調査成績がまだ十分に集積されていないので、現段階ではワクチン接種によって得られる利益が、不明の危険性を上回るという認識が得られた場合にワクチンを接種する、ということが適切ではないかと考えます。

 

妊娠初期はいろいろな理由で流産する可能性の高い時期なので、一般的に予防接種は避けた方がよいと考えられます。

 

米国の報告では、もしワクチンを受けるならば、妊娠のごく初期(妊娠13週前後まで)を除き、インフルエンザシーズンの前に行うのが望ましい、とされています。

 

現在のところ、妊婦にワクチンを行った場合に生ずる特別な副反応の報告は無く、また、妊娠初期にインフルエンザワクチンを接種しても胎児に異常の出る確率が高くなったというデータも無いことから、予防接種直後に妊娠が判明しても人工妊娠中絶をする必要はないと考えられております。

 

 

アメリカでは?

 

インフルエンザ感染による母体死亡や重症化の危険性から、インフルエンザの流行時期前に、14週以降の妊婦にはインフルエンザの予防接種をするべきであると勧告しています。

 

また、心疾患や糖尿病などの合併症妊娠では、週数の如何にかかわらず予防接種をすべきとも勧告しています。

 

 

以上のことから妊婦さんは?

 

現在日本で使用されているタイプのインフルエンザワクチンは妊娠中に使用しても安全であると考えられているので14週以降なら、インフルエンザをうけましょう。

 

できればワクチン接種後2週間ほどで効果が出現し、4〜5ヶ月間免疫能が持続するといわれていますのでインフルエンザシーズン(12〜2月)の前までに接種するほうがいいです。

 

もし、初期にその時期に重なった場合はかかりつけの先生に相談しましょう。

 

胎児に影響はないといわれていますが、もし自分のお子さんが先天異常・流産などを伴った場合、あのときのインフルエンザワクチンが・・などと自分を責めてしまう場合があります。(普通の方でも先天異常は妊婦さんの2%くらい・流産は10%ぐらいあります)

 

そういうことをすべて踏まえて、最終的にはご自分の判断に任されると思います。

 

また、インフルエンザシーズンにこれから妊娠を希望される場合は、予防接種してからお考えになったほうが、安心ですね。

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