妊娠中の便秘

妊娠中でも決まった時間に便通の習慣をつけ、繊維の多い野菜・豆類・きのこ・海藻類などをできるだけ摂取しましょう。

 

妊娠中の便秘の主な原因として下記の事があげられます。

 

1 妊娠初期につわり、妊娠悪阻のために食事の摂取量が減少し、排便量が減少し、排便リズムが崩れるために便秘になる。

 

2 妊娠することによって黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌は亢進します。その結果、黄体ホルモンによる腸管の平滑筋弛緩作用、蠕動運動抑制作用によって腸管の運動は不良になり、便秘になりやすくなります。

 

3 妊娠6ヶ月以降になると、妊娠子宮は増大し、腸管が直接圧迫されるために便秘が生じやすくなります。

 

4 妊娠子宮が増大することによって、腹壁が伸展されるために腹筋も伸展され、排便時に腹圧がさらにかけにくくなるために便秘になりやすくなります。

 

5 妊娠中には子宮が増大し、その結果、静脈還流が障害されるために痔が発生したり、悪化したりします。
痔が悪化することによって排便時痛が激しくなるために、排便行為を我慢することによって便秘になりやすくなります。

 

妊娠中であってもなくても、便秘に対する対策は同じです。

 

できるだけ薬剤に頼らずに、生活習慣の改善すなわち排便リズムの改善、運動、食事療法などが大切になります。

 

1、排便リズムの確立
規則正しい生活をおくることが重要で、便意がなくても毎日一定の時間にトイレに行く習慣をつけることが大切です。
特に朝食後の最も排便しやすい時にトイレに行く習慣をつけることが大切です。
つわりの期間にこの習慣がなくなり、以後便秘になってしまう場合もあります。

 

2、食事療法
線維の多い植物性食品は大腸を物理的に刺激できるために、便秘対策には有効です。このような食品としては豆類、葉菜類、根菜類、きのこ類、海草類などです。
具体的にはごぼう、れんこん、たけのこ、サツマイモ、ふき、セロリ、きゅうり、しいたけ、こんにゃくなどです。
魚類では、たこ、いか、貝類なども有効とされています。

 

3、大腸の刺激
食事療法とは言えないが、起床直後の早朝空腹時に、冷たい水、冷たい果汁、冷たい牛乳を飲むことも、便秘対策として有効であることが知られています。
これは胃の中にこのような冷たい飲料が入ると胃大腸反射が起こり、反射的に横行結腸以下の大腸の蠕動運動が亢進し排便が促進されます。

 

4、適度な運動
適度な運動は便秘に有効であるだけでなく、妊娠経過全般に好ましい影響を及ぼします。散歩や妊婦体操(妊婦水泳、マタニティービクスなど)は便秘対策としても有効です。

 

5、痔疾対策
痔による疼痛のために、排便を我慢しやすく、排便習慣が崩れる可能性があります。その結果として便秘の原因になり得るために痔疾対策が重要です。

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